ゆうゆう彩時記

ゆるり民藝―東北に暮らして(2)

2014年2月18日(火) 河北新報 朝刊くらし面掲載

立春大吉の手紙贈る心 和紙にのせて

手前は宮城の手すき和紙。
丸森和紙の暦、柳生和紙のはがき、白石和紙の名刺はカードに

「この言葉が書きたくて、手紙を出すのを日延べしておりました」

そんな書き出しから始まる手紙には、大きく「立春大吉」と書かれていました。縁起のよい言葉の送り主は、仙台市内にお住まいの民藝を愛好する方です。

宮城県民藝協会に入った7年前から、季節のお便りや写真に添えた一筆などを頂くことが増えました。

それまで、やりとりといえばメールや電話、ファクスが中心でしたが、入会して間もなく、万年筆で書かれた宴席の案内はがきを頂きました。参加した会の後に届いたはがきには、ねぎらいの言葉とともに、梅の花が描かれていました。

頂くことが多いのは、和紙のお便りです。それが書画のような手紙であったり、絵手紙であったり、絵はがきに手を加えられたお手製のしおりが添えられていたりと、こんなに楽しめるものなのかと思うほどです。

こちらからの返事にも、いつの間にか和紙が多くなってきました。生成り色のふかふかとした手触りの封筒や、透き通ってしゃりしゃりとした感触の便箋、型染めされた熨斗(のし)袋やぽち袋など。それらを整理しているのが、和紙でできた丈夫な文庫(箱)です。

手紙を書くために文庫をそばに置いていると、決まってネコがその上で眠っているので、ネコにとっても肌触りがよいのでしょう。

文庫には便箋などとともに、お香を入れています。こうしておくと和紙の繊維に香りが含まれるせいか、手紙に文香を添えなくても、遠方まで香りを運んでくれます。

送り先の方の好み、文の内容、季節などに合わせて、便箋の色や形を考え、相性のよい封筒を合わせ、切手の絵柄を選んでいくのも楽しいものです。

あるとき、おもてなしのお礼として筆書きの手紙をいただきました。それも巻紙。時代劇などで見たことのある、くるくると巻かれた長い手紙です。巻紙は、礼儀を尽くす意味合いのものと思っていましたが、書きたいことを紙の大きさに合わせなくてもよい気楽さもあるのだとか。確かに、手紙の締めくくりが便箋の程よいところで収まるか、気をつかいます。

どこで書き終えてもよい巻紙。背伸びして筆書きにするのではなく、万年筆のにじみも味わいとばかりに巻紙を使っています。

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