うすべに − 淡紅


消えゆきそうな許し色


花びらに包まれた、
つつましやかなお菓子は「姫椿」。
どんなに可憐な花なのだろうと思ったら、
山茶花(さざんか)のことでした。
秋が深まった頃から春にかけて咲く
彩りのよい花からは、
ほんのり芳しい香りがただよってきます。

椿のようにも見える花ですが、
その違いは、散りぎわにあります。
花そのものを落とす椿と異なり、
姫椿は、ひとひら、ひとひら
五つの花びらが散ってゆく、
そのはかなさも
心ひかれるところ。

淡く消えゆきそうな色あいが、
どこか、しとやかな女性を思わせます。




【淡紅色】
 
わずかに紅さす色。平安時代に紅色は、高位にしか許
されない禁色でした。かろうじて庶民に許されたのは、
うっすらとした淡紅色。「退紅(たいこう)」という名
もあり、退色した紅色のことを言うのでは、とする説
もあります。




「冬」の一覧へ戻る <<……>> 次の記事へ進む





TopBlogMailLink
Copyright (C) 2009 Miki Otani. All Rights Reserved.