くれない − 紅


禁じられるほどの愛され色


万葉の歌に詠まれ、
かさねの色目にも数々もちいられた紅。
いまも、恋文を表わす「紅の文」、
女性の涙を表わす「紅の涙」など
多くの言葉が残っているのは、
それほど好まれた色だったからでしょう。

紅の色を求めて染めを繰り返すには、
おびただしい量の紅花が必要でした。
それゆえに、高位の人にしか許されない
禁色となりました。

姿かたちは、アザミに似た紅花。
茎の先(末)についた花を摘むことから、
別名を末摘花といいます。

『源氏物語』では、
赤い花と赤い鼻をかけて
「末摘花」と呼ばれた方がいました。
それでも、一途に光源氏を思い続けた人。
その末摘花も、きれいでありたいと
紅をさしたことでしょう。

節分のおたふくの小さな小さな口もとに、
女性だれしにもある想いを見た気がしました。




【紅色】
 
紅花から黄みを除いた紅い色。「くれない」とも「べ
に」とも読みます。濃いめの「深紅(ふかきくれない)」
を染めるには、絹二反に約12キロの紅花を要したとか。
かさねの色目にある「紅匂(くれないのにおい)」は、
深紅と淡紅の濃淡になります。紅花は、もとは中近東
やエジプトの原産で、中国を経て日本に伝わったもの。
現在は山形県の特産です。




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