ふかみどり − 深緑


生命力をたたえた濃い緑色


静かなお菓子です。
ひっそりとした深い森を思わせるような。

といっても、菓銘は「玉藻羹」。
湖底にたゆたう藻を表わしているのでしょう。

何年も前から和菓子店の店先で
目の端に映りはしても
なかなか求める気にならなかったのは
抹茶と小豆の二層の水ようかん
だとばかり思っていたからです。

それがまったく予想していなかった
甘味が織りなす甘美なお菓子でした。

香りと苦みのきいた抹茶の下には
さっぱりしたほうじ茶羹のようにも感じる
波照間産の黒糖をつかった黒糖羹。
そして奥底には
とろんとしたこし餡が隠れていました。

見ための静けさと
饒舌な味わい。

忘れられない味をもう一度と
後日行ってみると、その日は完売。
ああ残念と思いながら
定禅寺通りのケヤキ並木を見上げると
いつの間にか葉色は、もう深緑。
ほんとうに和菓子の奥深さを再認識した
夏の夕暮れでした。



【深緑】
 
「こきみどり」ともいう濃く深い緑色のこと。『源氏物
語』に登場し、現在までそのままの色名で伝わる身近な
色です。似た色に、黄みをおびた「常磐緑」、くすんだ
黄緑の「松葉色」、青と黄の中間にあたる「緑色」など
があります。天然のひと色で染めることができない緑
は、青と黄を染め重ねることによって表わされました。





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