くがつぎく − 九月菊
白菊と黄菊を表すかさね色
「九」という数字。
これほど、人によって印象の異なる数字も
めずらしい気がします。
ある人は、苦しみを連想し
ある人は、めでたい九がふたつも並ぶ
九月九日の重陽の節句を思い起こす
ハレとケをあわせ持つ数字です。
その重陽の節句にちなんだ色名が、九月菊。
なぜ、菊なのかといえば
その日、観菊の宴が催されていたから。
中国の故事にならい
日本でも奈良時代から宮中で
菊の花を愛でる宴が行われていました。
菊の花を浮かべた酒を飲み
その前夜には、
花が夜露にぬれないように綿を着せ
翌朝に、夜露と香りをうつしとった綿で身体を拭くことにより
若さが保てると思われていました。
菊月ともいわれる九月は
別名、夜長月ともいわれます。
雲間にうかぶ月を見上げながら
このお菓子「月の宴」をいただきつつ
ゆっくりと過ぎゆく時間に浸るとしましょう。
【九月菊】
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白菊と黄菊を思わせる、白と黄によるかさねの色目で
す。重陽の節句にちなんだ色目ですが、平安文学に は見られないため、中世以降に生まれたと考えられ ています。この色あわせを身につけるのは、9月だけ。 秋にかけて、菊にちなんだかさねの色目は多く、蕾菊、 葉菊、花菊、白菊、紅菊など、10種類にもおよびます。 |