しおんいろ − 紫苑色
秋に咲く紫苑の花の淡紫色
しおん、紫苑。
その響きも、文字のたたずまいも
優美でしっとりとした女性が浮かびます。
まだ「和の菓 和の色」が形をなしていないころ
和菓子に日本の色を見つけたいと考えていたときから
ずっと紹介したいと思っていた色です。
紫苑は、秋の花。
この時季、淡い青紫の花をつけます。
そう、このお菓子「野菊」のように。
野菊はある特定の花の名ではなく、
野生の菊のこと。
平安時代のはじめには
中国から渡来していたという紫苑も
野菊のひとつです。
このお菓子の姿、形、色あいは
きっと紫苑を意識したもの。
「野菊も咲くまでは、ただの草」といわれ
咲いてはじめて、気づかれます。
その有りようも、惹かれるところです。
【紫苑色】
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菊科の紫苑の花色をあらわす、淡く明るい青紫で
す。平安時代から好まれ、庭に多く植えられた花。 その色あいも愛され、『源氏物語』や『枕草子』に 装いの色として出てきます。ひと色であわらす「紫 苑色」もあれば、紫と蘇芳(紫がかった黒みの赤) の二色によるかさねの色目の「紫苑」もあります。 |