びゃくろく − 白緑


白にちかい緑青のうす色

和菓子といえば、季節ごとに
定番のお菓子をわずかに変えたものが
店先に並ぶと思いがちです。
ですが、一年前とはまったく異なるお菓子を並べる
お店も少なくありません。

和菓子屋さんにも、それぞれあり
意匠(デザイン)なら現代的、古典的、写実的な店もあれば、
練りきりの風味がよい店、お干菓子の形のみごとな店など
良さもさまざまです。
そこには、はっきりと気風や想いがあらわれます。

伝統を守り続けていく、覚悟。
新たなことを取り入れていく、やわらかさ。

このお菓子「潦鶴(たずみづる)」は
鶴が水辺にたたずむ姿を表した、今風の色あわせ。
それでも、手前にみえる白緑は
奈良時代から仏像や仏画に使われてきた色。
いまも日本画に使われています。

守ってきた色なのか、残ってきた色なのか。
そこには大きな違いがありますが
いまここにあることには、変わりありません。



【白緑】
 
白みがかった緑。日本画の緑を描くときに
用いる岩絵の具、緑青(ろくしょう)を砕き
粒子を細かくしたものが、白緑になります。
ちなみに緑青の古名は、青丹(あおに)。
仏教とともに中国から伝えられた色です。





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