たいこう − 退紅
万葉からある慎ましい淡紅色
「千扇(せんめん)」と名づけられた
吉祥を表す優雅な末広に
この色をあてていいものか
気持ちに折りあいがつかないまま、いつの間にか睦月も下旬。
少々、季を逃しての紹介になります。
扇で思いだすのは、学生の頃のこと。
京都の夏は暑く、窓からの風もなく
そこここに下敷きであおぐ学生がいました。
そのとき、先生が言われたひと言。
「日本には扇子という文化があります」
それを機会に扇を持つようになり
クラスでもごく自然に、扇を見かけるようになりました。
うちわは中国から伝わり
扇は日本で生まれたもの。
平安時代から使われていたといいます。
涼を求めるのは、まだまだ先ですが
大事にしたい文化です。
【退紅】
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くすんだ淡紅色。粗染(あらぞめ)ともいいます。
万葉集の頃からある庶民に許された色で、わずか な紅花で染めた淡い色、あるいは褪色した淡紅で あったのでは、と考えられています。退紅と淡紅 との違いは、くすみのある、なし、になります。 |