しょうじょうひ − 猩々緋
鮮やかに冴えた黄みの赤
新しい年のはじまりは
鮮やかな赤に多く出合います。
緋色のお菓子に出合ったのも、2008年の睦月。
それは、どんと祭にちなんだ
“火祭”という銘のお菓子でした。
2010年の睦月は、「梅一輪」の花の色に
目の覚めるような猩々緋を見つけました。
「猩々」といえば、能の演目にもある
酒好きな霊獣のこと。
親孝行の酒売りの男性に、尽きることのない酒壺を授け
永遠の繁栄をもたらしたというお話です。
その風貌は恐ろしいほどの赤毛装束ですが
酔ってうかれて舞うさまは、とてもユーモラス。
めでたい演目です。
そう思えば、このお菓子も
梅の花に酔ったかのよう。
花に酔い、酒に酔い、お菓子の甘さに酔う
よい年になりそうです。
【猩々緋】
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一輪咲いた花の色が、猩々緋にあたります。鮮やかな
黄みの赤である緋色の中でも、特に冴えた色み。中国 の伝説上の霊獣「猩々」の血の色ともいわれます。南 蛮船によって輸入された羅紗(羊毛をつむいだ毛織物) の色でもあり、それは大名の陣羽織にも愛用されまし た。江戸初期に名づけられた色名ともいわれています。 |