ぎんねず − 銀鼠


白銀のような明るい鼠色


大寒を過ぎても、凍える寒さ。
そろり、そろりと歩く日の多い仙台です。

それでも、和菓子屋さんには
水仙、紅梅、椿といったお菓子が並び、花ざかり。
その中で、すっと引き寄せられたのが
このお菓子です。

家紋のように見えるけれど
干支にちなんだものだそう。

今年は、たつ年。

それでも思い浮かばず
菓銘を聞いて、納得しました。
「宝玉龍の爪」。
宝玉をつかんだ龍の爪を表したものです。

日本画が浮かんでくる、この意匠、この色あい。
こんなに渋いお菓子に出会えるとは
うれしくなります。

いかにも英気を養えそうなお菓子は
龍神さまのご加護もありそう。

そう思いつつ口にふくむと
ほんのりゴマの香りとともに
お干菓子がほどけていきました。



【銀鼠】
 
かすかに青みをふくむ、白みがかった灰色。江戸時代か
らよく使われる、粋な色です。四十八茶百鼠(しじゅう
はっちゃ ひゃくねず)といわれるほど種類の多い鼠のつ
く色には、抹茶にちなんだらしい緑みの利休鼠、江戸に
ちなんだ青みの深川鼠、赤みがかった桜鼠に、牡丹鼠な
ど。色名を眺めているだけで、想像がふくらんできます。





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