あかむらさき − 赤紫


高貴な紫のひとつ


この時季にめずらしく
雨がふりしきる朝があったかと思えば、
その夜は、雪。
そして今日は、春のような陽射し。

春へ急いだり、冬に舞い戻ったり
空の気もそぞろのようです。

如月も半ばを過ぎると
木に春と書いてツバキと読む春の花
椿が並びはじめました。
このお菓子の銘は「つらつら」。

春のまどろみのなか
つらつら物思うという意味かと思ったら
花が連なっている様子を表わす
“つらつら椿”から名づけられたものでした。

そういえば、子どものころ
家の裏手に、椿の枝が垣根のように広がっていました。
しっとりした花びらはもちろん
つやつやした葉を
すーっと触れずにはいられませんでした。

葉を愛でる椿餅もよいものですが
春待ち顔の花のお菓子もまた
気分が暖かくなってきます。



【赤紫】
 
赤みがかった鮮やかな紫色。奈良時代や平安初期には、
朝廷に身につけていく正装の色のひとつでもありま
した。最も高貴な色が、濃色(こきいろ)といわれた
濃い紫色。それに次ぐ色だったといわれています。紫の
同系色には、深色(こきいろ=濃紫)、薄色(うすいろ
=薄紫)、滅紫(けしむらさき)など、多くあります。





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