ばいこうちゃ − 梅幸茶


初代尾上菊五郎好みの茶色


縁起のよさそうな梅幸という名。
歌舞伎役者、尾上菊五郎の俳号です。

いまの尾上菊五郎さんは七代目。
富司純子さんのご主人で、
寺島しのぶさんと菊五郎さんのお父さまといえば
わかりやすいでしょうか。

その初代の好んだ色が、梅幸茶になります。
江戸時代には、幕府によって華美を禁じられましたが
富裕な町人は、地味な茶や鼠系の色に美を見出し
さまざまな変化をつけて楽しんだといいます。
その色数、「四十八茶百鼠」といわれるほど。
数多くの色が、このころ生まれました。
それら渋みのある色に、江戸の粋が感じられます。

茶系は秋まで待つつもりでいましたが
たまたま見つけた梅幸茶。
いまの時季は、青梅が並ぶころではありますが、
ひんやりつるんとした味がほしくて
甘露梅が透けてみえる
「ささのつゆ」となりました。




【梅幸茶】
 
萌黄に鼠をふくんだ茶色。茶系にも、赤み、黒み、黄
みなど、ざまざまあります。歌舞伎役者にちなんだ代
表的な色は、赤みがかった団十郎茶、黄赤がかった芝
翫茶など。茶系といい、新橋色といい、江戸の流行発
信は、歌舞伎界、花柳界であったといえそうです。




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