ゆりのかさね − 百合のかさね
姫百合をあらわす夏色のかさね
はじめてわが家を訪れた義父が
両手いっぱいに抱えていたのが、白百合でした。
ちょっと照れたように、はいと手渡された白百合は
言葉ではない想いをいただいたようで
うれしくて、もったいなくて、とてもありがたかった。
私にとって百合といえば、その白百合だけれど
かつて日本で百合といえば
姫百合の色だったようです。
この「さくらんぼ」の色のかさなりが
姫百合をあらわす、かさねの色目。
『古事記』や『万葉集』に見られる百合も
白百合ではなく
このような夏色だったかもしれません。
7月の季語にもなっている百合は
これからの時季が見ごろ。
仙台からちょっと足をのばして
一迫ゆり園で
色を感じるのもよさそうです。
【百合】
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赤色と朽葉色による、姫百合をあらわすかさねの色
目。夏の時季に身につけられた色あいです。といっ ても、平安時代には登場せず、室町時代に著された 『胡曹抄』によれば、その時代にもあまり身につけら れていなかった様子。元気のでる愛らしい配色です が、残念ながら流行とまではいかなかったようです。 |