あさぎいろ、うすあさぎ − 浅葱色、薄浅葱


青みの葱の色と、さらに薄い色


淡々として
はかなく消えゆく泡をあらわした
「うたかた」です。

子どものころ過ごした家のすぐ前には川があり
ときに水かさを増し、
母屋の床上まで浸すことがよくありました。

そんなときは、裏山の中腹にある小さな土蔵の二階に上がり
ろうそくを灯して、川が静まるときを待ちました。

薄暗がりのなかで目にしたのは
土人形や行燈、蓑など
暮らしから遠ざかったものたち。
今思えば不謹慎なことですが
子どもにとっては楽しいひとときでもあったのです。

だからでしょうか。
今でも、消えゆく文化に意識が向きます。

岩手から福島まで港をめぐり
漁師さん、船大工さん、港町の方々が
とつとつと話聞かせてくださった
船玉のこと、出初め式のこと、祈りのこと。

経済的な復興はもとより
港文化が泡と消えぬよう願うばかりです。



【浅葱色、薄浅葱】
 
かさねの色目に見かけないのが意外なほど、美しい配
色。浅葱色と薄浅葱による、水の泡を表したお菓子です。
緑をふくむ水色より濃い青が、浅葱色。『源氏物語』に
登場する伝統の色です。淡いほうが、薄浅葱。どちらも、
青みに傾いた色あいです。逆に、緑みに傾いたのが水浅
葱。字面に引きずられて、ちょっと混乱しそうですが。





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