せみのは − 蝉の羽


蝉の羽を模した夏のかさね色


虫の音にかわる時季になっても
夏の名残のように
まだ蝉が鳴いています。

その蝉の羽をモチーフにした
2色によるかさねの色目を
「新涼」というお菓子に見つけました。

あまりにも直接的な色名なので
お菓子の色にあてるのは気がひけますが
この端正な色や形と
色名がしっくりくる気がして
紹介することにしました。

蝉の色といえば、茶系だとばかり思っていましたが
この色目には、なぜか緑も含んでいます。
もしかしたら
クマゼミの羽化した色に
ちなんでいるのかもしれません。
涼やかな緑の羽をしているので。

このかさねの色目は平安時代からあり
夏の薄衣に用いられたといいます。
現代でも、さらりと素敵な着こなしができそうです。



【蝉の羽】
 
黒っぽい赤茶の「桧皮色」と、古くは「青」と表した
緑色、2色の組み合せです。かさねの色目の表に桧皮
色、裏に緑なので、お菓子の配色を上下にすると、よ
り本来の色合わせに近づきます。動物にちなんだ色目
は少なく、ほかに「玉虫色」があるくらい。色目が残
らなかったのは、その名も影響しているのでしょうか。





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