びゃくろく − 白緑
白みがかった淡い緑
ずいぶん薄れてきてはいても
その土地、土地に、受け継がれてきた
色彩文化があります。
それは衣食住にわたり
ごく自然に暮らしの中にあって
見過ごしてしまいそうなほど。
このお菓子「緑陰」は
見る人によっては
抹茶風味を想像されるかもしれません。
ですが、この時季、東北でこの色といえば
枝豆をすりつぶした、づんだです。
仙台の和菓子屋さんには
それぞれ風味を生かした、づんだ羹(かん)が並びます。
はじめて、づんだを見たのは
高校まで過ごした、島根でのこと。
たまたま見かけた同級生のお弁当に
入っていたのが、づんだあんのおはぎ。
なんだろう……。
小豆あんのおはぎしか見たことがなかった当時
とても不思議な感覚だったのを覚えています。
それが、仙台に暮らすようになり
づんだの控えめな甘さと
こまかい粒々の食感がくせになり
いまでは、小倉よりもまず、づんだ。
食の色彩文化のもとにあるのは
その土地らしい、おいしさなのでしょう。
【白緑】
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文字通り白にちかいごく薄い緑色。顔料であ
る緑青(ろくしょう)を最も細かい粒子にす ると白みがかった白緑になります。飛鳥時代 に中国から伝わった絵の具で、仏画や仏像、 古い建築物や彫刻の彩色に用いられました。 現在でも、日本画などで見ることができます。 |