きくがさね − 菊重
白菊のうつろいを表すかさね色
葉月も、あと一日。
いっときは、急に肌寒くなった気候に
早くも秋がやってくるのかと思ったら
いまも隣のお寺の木立では、セミがかまびすしく鳴き
まだまだ夏は終わらない
と言っているかのようです。
かと思えば、こちらの庭先には
秋明菊が開きはじめました。
夏と秋が、とけあうこのごろ。
お菓子は「桔梗(ききょう)」。
秋の七草のひとつです。
萩、尾花、葛、なでしこ、おみなえし、藤袴、朝顔。
この朝顔が、桔梗といわれています。
ふた色あったこのお菓子を並べてみると
その色あわせは
秋らしい白菊を思わせる
かさねの色目へと姿をかえました。
【菊重】
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白と淡紫のかさねの色目。秋に身につけられる色あい
です。似た配色に、蘇芳菊(すおうぎく)があります。 こちらは白と濃い蘇芳色(黒みをおびた赤系の色)の かさなり。白菊が霜にあい、蘇芳色にうつろう様子を 表した色目とされています。だとすると、この菊重は、 夜露にぬれた白菊をあらわしているといえそうです。 |