しののめいろ − 東雲色
朝焼けの色
春眠にかぎらず
たいていは暁をおぼえず。
いつまでも眠っていられたらと思うほうです。
それでも、ときおり
夜明け前からとりかかることがあると
東の空にたなびく雲が
東雲色に染まっていく様子を見ることがあります。
ちょっと気が急いていても手を止め
明けていく空を見ていると
身体のすみずみまで、気がゆきわたっていく感覚に。
とくに夏の時季は
障子越しにまっすぐ差し込む朝の光も好きで
それまでの部屋が一瞬にして変わり
清々しく、力を与えられた気になります。
この花も同じ気分かもしれません。
朝の光をうけて咲く「むくげ」です。
そこここで目にすることが多い、夏の花。
花どきの長い印象ですが
一輪一輪は、その日の朝咲いて
夕暮れには閉じる一日かぎりの花です。
【東雲色】
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淡く黄みがかった赤。このお菓子でいえば、花芯の朱が
かった赤い部分。東の空に見える朝焼けの色を表し、曙 色(あけぼのいろ)とも言います。朝焼けが東雲色なら、 夕焼けは茜色(あかねいろ)。黄みが勝る淡い東雲色に 対し、赤みが勝る濃い茜色。見比べると、自然の色をど う捉えたのか、日本のかつての感覚がつかめそうです。 |