ひわだいろ − 檜皮色


ひのきの皮で染めたこげ茶色


先日いただいた栗は、ふっくら大きめ。
うれしい初物となりました。
それが、さほど離れていない木であっても
実の育ちには、ずいぶん差があるのだとか。
養分を含んだ水の流れのせいなのか
土の違いなのか、よくはわかりませんが。

そこで浮かんだのが
宮大工の棟梁、西岡常一さんの言葉です。
木の性質は、土や環境によって異なるため
「木を買わずに山を買え」というのだそう。
その多くの言葉の柱となっていたのが、口伝です。

人間国宝の志村ふくみさんも
今の人はノートをとるのに懸命で
五感で覚えるところまで至らないのでは
と口伝の重要性を説かれていました。

それは、覚えようとする気構えに通じるのかもしれません。
書きとめずに、どれほど取りこぼさずにいられるのか
おそれにも似た思いはあります。

多くの言葉を身につけていけるように
願いもこめて今日は「栗ひろい」となりました。




【檜皮色】
 
黒みの赤茶色。『源氏物語』にも「檜皮色の紙の
かさね」として登場する、平安時代からある色み
です。衣服のかさねの色目にもあり、ひのきの樹
皮を表すように、黒みをおびた赤の蘇芳色と、薄
い藍色をかさね、一年を通して着用されました。




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