こけいろ − 苔色
日本情緒あるくすんだ黄緑
好みというのも不思議なもので
ある日、まったく変わっていることに気づき
われながら驚くことがあります。
苔も、そのひとつ。
学生時代に京都にいるときは
苔寺として知られる西芳寺を
訪れたことはありませんでした。
それが、どうしてか
つい数年前に京都に出かけたとき
苔玉に目がとまりました。
野草がのぞく
小さな手まりのような苔玉。
荷物で苔玉をつぶしてしまってはと
そのときは求めるのを諦めましたが
それ以来、心に残っていたのでしょう。
この「寒牡丹」のお菓子から
苔玉を思い出しました。
この丸みといい、この色みといい
どことなく似ているのです、あの苔玉に。
もしかすると、苔玉を通して求めているのは
静かに物思う時間かもしれません。
【苔色】
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やや暗くくすんだ黄緑色。萌黄色のくすんだ色でもあ
ります。かさねの色目にも苔色があり、濃い萌黄色を かさねた色、あるいは濃香(こきこう:濃いめの生成 り色)と二藍(ふたあい:紫系統)をかさねた色と、 諸説あります。いずれも四季を通じて身につけられた 色です。 |