うすべに − 淡紅
消えゆきそうな許し色
花びらに包まれた、
つつましやかなお菓子は「姫椿」。
どんなに可憐な花なのだろうと思ったら、
山茶花(さざんか)のことでした。
秋が深まった頃から春にかけて咲く
彩りのよい花からは、
ほんのり芳しい香りがただよってきます。
椿のようにも見える花ですが、
その違いは、散りぎわにあります。
花そのものを落とす椿と異なり、
姫椿は、ひとひら、ひとひら
五つの花びらが散ってゆく、
そのはかなさも
心ひかれるところ。
淡く消えゆきそうな色あいが、
どこか、しとやかな女性を思わせます。
【淡紅色】
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わずかに紅さす色。平安時代に紅色は、高位にしか許
されない禁色でした。かろうじて庶民に許されたのは、 うっすらとした淡紅色。「退紅(たいこう)」という名 もあり、退色した紅色のことを言うのでは、とする説 もあります。 |