いっこんぞめ − 一斤染


まちの女性の忍び色


花や情景を表すものが多い
色の名にはめずらしく、
重さを表す名がつけられています。
まだグラムが定着する前、
明治まで使われていた重さの単位です。

一斤といえば、食パンですが、
パンは本来の「一斤」の重さより軽めで、
いまではサイズを表すものとして使われています。

かつて「斤」は、紅花やお茶などの
重さを量る際に使われていました。
紅系の色には、深紅、韓紅、紅樺色など、
さまざまあありますが、
あえて重さを限定する名がつけられたのは、
それだけ厳しく制限されたことを
示しているのでしょう。
庶民にガマンを強いた色でもあります。

それでも、白とならべると、
ほんのり紅が引き立ってきます。
ゆるやかな線とともに、
心やすらぐお菓子「梅の雪」となりました。




【一斤染】
 
紅花一斤(約600グラム)で絹2反を染めた、うすい紅
染。おなじく淡紅の「退紅」は、約 100グラムの紅花
で染めたのではとも、この「一斤染」が色褪せたもの
では、とも考えられています。庶民に許される、ぎり
ぎりの紅色でした。




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