うすあさぎ − 薄浅葱
さらりとした、ゆかしい色
ときが平安の世なら
きっと周りの人たちは
眉をひそめたことでしょう。
そのような色のお召しものを、と。
光源氏の子、夕霧が元服のときに着たのは
これよりも濃い浅葱色。
それでさえ、祖母にあたる人は
六位を示すその色を、ふびんに思います。
それよりさらに薄い色となれば
位などとは、およそ無縁。
その色に身を包まれた姿が
ひな祭りだからと控えているように思われて
なんとなく好ましく見えたので
あえて主役のようにとりあげてみました。
「めびな」さまには申し訳ないけれど
こんなにも淡い色を着こなせるのは
「おびな」さまをおいて
ほかにないように思われたので。
【薄浅葱色】
|
|
葱の若葉のような浅葱色を、淡くしたのが「薄浅葱」。
藍より出でた色のひとつです。江戸時代には、「水浅 葱」といった色名も出てきます。その水浅葱より淡く 明るく鮮やかなのが、薄浅葱とされています。装いの うえでは浅葱系は夏の色になりますが、お菓子なので 少々早い季節の先取りとなりました。 |