もえぎ − 萌黄


めざめたばかりの芽吹き色


これほど春を待ちわび
新緑をうれしく思うようになったのは
北の国に来てからのことです。

冬から春へしだいに移り変わっていく
西日本とは異なり、みちのくでは
いっせいに木々が芽吹き、花開きます。

みずみずしい若葉に
すかし見える陽ざしも
さわさわと揺れる葉音も心地よく
あちこちから植物たちの
笑い声が聞こえてきそうです。

そんな緑の間をゆきかう
ちょうちょを表した「舞ちょう」。
ひらひらと風にのるように
花から花へとゆく姿もまた
喜びの舞いのよう。

杜の都が萌黄色に染まるのも
もうすぐです。



【萌黄色】
萌え出たばかりの黄みのある冴えた緑。萌葱色、
 萌木色とも書きます。『源氏物語』にも出てくる、
平安期から用いられた色名で、若者に向く色とさ
れています。似た色に、萌黄より黄みがまさった
鶸色(ひわいろ)があり、それは小鳥の鶸の羽色
に由来するのだとか。ちなみに、三月に着るかさ
ね色の桃は、淡紅と萌黄の色あわせになります。




「春」の一覧へ戻る <<……>> 次の記事へ進む






TopBlogMailLink
Copyright (C) 2009 Miki Otani. All Rights Reserved.