さくらいろ − 桜色


あるかなきかの色に酔う


さくらの時季になると
いつも浮かんでくる句があります。

ねがわくは花の下で春死なん

花びらが、はらはらと舞い散るもとで
逝きたいという憧憬にも似た西行の願いに
たしかにとの思いが重なります。

そう思いながらも
実のところは芭蕉の句のように

花のふる日は浮かれこそすれ

夜桜のもとで
花も月も愛でるのを忘れ
ただただ宴となってしまうのですが。

その花のときも、十日ほど。
すぐにこの「花びら」のように
春風にのってしまいます。

わずかな、ひとときではあっても
いつ咲くかと待ちわびるこの時季から
さくらの季節は、はじまっている気がします。



【桜色】
山桜のような白に近い、かすかに紅を含む色。
よく見かける染井吉野よりもっと白に近く、紅
 色の系統のなかで、もっとも淡い色になります。
 桜にちなんだ、かさね色も多く、薄花桜、葉桜、
樺桜など10種を超えるほど。その色みは、年齢
が高くなるほど白に近づくとされています。




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