しょうぶのかさね − 菖蒲のかさね


香気を放つ緑と紅


花冷えというより
冬の名残さえ感じさせてきた春。
それでも日々は確実に進み、卯月も末日。
お菓子も、端午の節句にちなんだものが
並んでいます。

かぶと、ちまき、吹流しなど
さまざま詰まった干菓子のなかに
見つけたのが「菖蒲」です。
葉の緑と、まわりに散らした濃紅梅の
ふた色の組み合わせが、かさねの色目。

このお菓子は、わかりやすく
あやめ科の花菖蒲を表していますが
さといも科の菖蒲の花は、もっともっと控えめ。
花というより、黄みがかった穂です。

かさねの色目も
黄ではなく、どうして紅をかさねるのか
ちょっと頭をかしげるところ。

花姿の違い、色の異なり、あやめとの見極め……
こんがらがってきそうですが
難しいことは抜きにして
菖蒲のお菓子をいただくことにしましょう。



【菖蒲のかさね】
 
青(緑)と濃紅梅が「菖蒲」の組み合わせ。お菓子の
葉と粒状の濃紅梅色が、この色目にあたります。似た
かさねの色目に菖蒲重(しょうぶかさね)もあり、こ
ちらは菜種色(黄)と萌黄色をかさねたもの。菖蒲に
ちなんだ色目も、破菖蒲、若菖蒲、根菖蒲など、いろ
いろ。ひと色で菖蒲色を表す、青みの紫もあります。





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