うすいろ − 薄色
最上位の紫ゆかりの色
ふわりと羽織った
きもののようにも見えますが
これは杜若(かきつばた)の花を模したもの。
この形といい、ぼかした色といい
なんとも忘れがたく
ずっと心待ちにしていた「唐衣」です。
杜若といえば、あやめとよく似た花。
なぜ唐衣という銘がついているかといえば
『伊勢物語』にでてくる
歌にちなんでいるからです。
から衣 きつつなれにし つましあれば
はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ
句の上に「かきつばた」の五文字を入れたこの歌は
在原業平が、京に妻を残し東下りする際に
遠くまで旅をして来たものよ
と詠んだとされています。
このお菓子にどことなく
都の香りがするのは
業平の郷愁を表してのことかもしれません。
【薄色】
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紫の薄い色。聖徳太子が定めた冠位十二階で、
最も高貴な色とされたのが紫。濃色(こきいろ) といえば濃紫、薄色といえば浅紫(うすむらさき) を意味したそう。ちなみに杜若色は、杜若の花 色のように鮮やかで赤みのある紫になります。 |