ふじねず − 藤鼠


灰みがかった藤色


うど、たらのめ、ふきのとう。
独特の香りや苦み、渋みがいいと
心から感じられるようになってきました。

味覚と視覚の好みは似てくるのか
ここ最近はとくに
渋みのある色に、きゅーんと引き寄せられます。

お菓子も、こんな渋みのある色に出会うと
本当にうれしくなります。

 渋いという如き、美への標準語を持っている国民は
 東洋にも他にはない
と記したのは、民藝の概念を見出した柳宗悦。

そんなに優れた文化のかたすみに
はたして、いるのかどうか。
たんに好みといえなくもないけれど
このお菓子「花しょうぶ」を見て
しっくりくるのを感じました。

澄んだ渋みといったらいいか。
なんとも、おだやかな気持ちになってきます。



【藤鼠】
 
灰色をふくんだ、やわらかな藤色。江戸後期に流行
した「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」
のひとつです。茶系と鼠色系それぞれに微妙な色彩
の違いから生まれた多くの色は、粋な色として親しま
れています。藤色にちなんだ渋みのある色には、薄藤
鼠や、灰みがかった青紫色の藤納戸などもあります。





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