きはだいろ − 黄蘗色
いにしえより伝わる樹皮の色
新しいことをはじめる方には
黄から橙の色でまとめた花を
贈るようにしています。
ふと眼にしたとき
晴れやかに元気づけてくれるように
おめでとう、がんばっての気持ちをこめて。
それがここ最近、
誰からともなく贈られた花がありました。
庭先で顔をあわせるその花は、黄しょうぶ。
すっくとした花姿は凛として華があり
こちらの背すじまで伸びる思いがしました。
その花姿も、そろそろ見納めと思っていたら
お菓子にみつけた「花しょうぶ」。
紫であらわされることが多い花なのに
あえて黄でまとめられているのが
庭先に咲いていたあの花のようで
思わず求めてしまいました。
わが身に贈るのは
花ではなく、やはり和の菓となりました。
【黄蘗色】
|
|
やや緑みの明るい黄色。ミカン科の樹木である黄
蘗の内皮で染めた色をいいます。黄蘗の花が咲く のも五、六月。虫よけ効果のある黄蘗は、飛鳥時 代から経文用の紙を染めるのに使われたといいま す。レモン・イエローと訳す人もいます。 |