なえいろ − 苗色
風にそよ吹く稲の色
ひと月ほど前に田に移された稲が
若苗色から苗色へとかわりつつあります。
陽射しを見上げ、まっすぐに
天をめざすように丈を増してくると
ほっとして、うれしくて
いつの間にか見守っている心境になります。
このまま、すこやかに育ち
実りのときを迎えられますように。
そう思うとともに、気になるのは天候のこと。
このところ雨は気まぐれで
梅雨入りかと思えば、真夏のような晴れつづき。
忘れずに恵みの雨となってくれるとよいのですが。
そこに見つけた、青葉の上のひとしずく。
「落し文」です。
季節の訪れにあわせているのでしょう。
こちら仙台では
関西よりひと月遅れのお目見えとなりました。
白い粒をぽつんとのせることが多いのですが
このお菓子のは水滴のよう。
その涼にひかれて求めたお菓子です。
【苗色】
|
|
稲苗のように淡い萌黄色。卯月の頃の若草色より淡
く、皐月の頃の若苗色よりも濃い色になります。若 苗色が『源氏物語』に登場するのに対し、苗色は平 安期の文学に見られないため、若苗色より後に生ま れたのではと考えられています。かさねの色目にも 苗色があり、夏の時季に身につける色です。 |