なでしこいろ − 撫子色


つつましい大和撫子の色


線香花火の火花のように
か細く散る花びらが大和撫子。
もともと日本にあった「撫子」のことです。
中国から渡ってきた唐撫子は
花びらの先だけちらちらと分かれたもの。

清少納言が『枕草子』で
草の花なら撫子。唐撫子はもちろん
大和撫子もたいそうよい、と詠んだ花です。

撫子といえば、秋の七草の一つですが、
花の咲く時期が長いこともあり
夏の季語とする説、秋の季語とする説があります。
お菓子では、花の咲きはじめに合わせて、いまの時期。
かさねの色目の撫子や唐撫子を身につけるのも
いまの時分になります。

昨年このお菓子を求めたときは、もう少し白に近く
朱華色(はねずいろ)に見えました。
それが今年は、少し色が濃くなり、花心も黄色から白に。
色あいを変えたり、素材を変えたり
その年ごとのわずかな変化に
伝統を守りながら変えていく姿勢を見る思いです。




【撫子色】
 
紫がかった淡紅色。 大和撫子とも、河原撫子とも、呼
ばれる花の色です。和の色では、大和撫子を「撫子色」
唐撫子を「石竹色(せきちくいろ)」として 色に違い
を見出しています。 色調では、撫子色よりも石竹色の
ほうが、やや濃く黄みがかった色となります。




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