くさいろ − 草色
深みをました夏の緑
ずんだ餅をご存じのかたは
多いでしょうが
こちらは「づんだ羹」。
枝豆のうす皮をとり、すりつぶして、
ほんのり甘くして、
寒天にとかし、かためたものです。
お店によっては、7月までは仙台ちゃ豆。
8月に入ると、山形県庄内のだだちゃ豆へと
素材をかえていくところもあります。
仙台ちゃ豆のづんだ羹は、
口当たりなめらかで風味も軽やか。
だだちゃ豆になると
口当たりのよさはそのままに
香りが全身にゆきわたるかと思われるほど
風味がぐんと深まります。
それは、たとえていえば
杜のけやき並木と、奥入瀬のぶなの森ほどの差。
つい先日訪れた奥入瀬は、まさに草色で
繁茂する木々で、車道や空気さえ緑に染まっていました。
景色も、お菓子も
この時季だけの味わいです。
【草色】
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黒みのある黄緑色。夏の草のように葉緑素をたっ
ぷりと含み、緑が濃くなった色になります。「草 色」になる前、卯月の頃は「若草色」、その前の 弥生の頃が「萌黄色」。こうしてみると、色名を 追うだけで、緑の一生を見ているようです。 |